ドラマ「教場」の率直な感想
率直な感想。
それは期待以上の素晴らしい出来栄え。
その一言に尽きます。
木村ファンだから録画して、木村ファンだからリアタイでも見始めた。
でも、すぐに彼が出ていることなんか忘れて最後まで見入ってしまいました。
もう、木村とかどうでも良くなってました。
いや、もちろん風間は良かったですけどね。
リアタイで見つつ、録画準備もしたのは、何回も見るためではなく、どうせつまんないだろうから、途中でお風呂はいったりチャンネル変えたりしてもストーリーが追えるようにしたかったからです。
どうせ前評判とキャストの話題性だけで、中身は退屈で薄いだろうから、2時間はきついと踏んでいました。
ところが、初っ端から引き込まれ、なぜかCMになっても席を立てない。
重々しい空気と私の苦手なグロい表現、狂気や暴力が次々と画面に。
そういうのが大嫌いな私は、速攻チャンネルを回すか、席を外してストーリーだけ追うのですが、今回はなぜかそれができない。それだけ引き込む魅力が凄かったのです。
参りました。
ここが凄かった!前編
印象深かった前編のシーンを3つご紹介します。
以下ネタバレ含みます。
1)宮坂と平田の事件。
まず、最初の掴みが素晴らしかった!
平田を演じる林遣都の怪演がすごくて、未だ脳裏に焼き付いて離れません。
正直トイレ掃除のサンポールみたいな薬品がなくなった時点で、毒薬に使われるんだろうってのはわかったし、風間教官がそれに気づいたのもわかった。途中で助けに?くるのもなんとなくわかった。来るぞ、来るぞって・・・。
それだけ筋がわかっていても、あの場面は全編を通じて最も鬼気迫るシーンで、最も印象的なシーンでした。宮坂の恐怖の叫びも凄かったけれど、やはり平田の狂気が際立った。彼の生い立ちとかだけで映画一本あってもいいかというくらい。
前半には弱々しいダメ男っぽくありながら、中盤で内に秘めたストレスと激しい憎悪を滲ませ、そして後半一気にその狂気を爆発させる。最後は父親に反抗しながら退所する際に、撒き散らす不満と怒り。
「一番嫌いなもの、それはお前だよ、宮坂」は今思い出してもゾワっとします。なんという迫力!目力なのか、声の力かわからないけど、この人の役者としての力量が凝縮されてた感じ。
細かい伏線がきっちり回収されていって、見ていてスッキリするドラマだったけれど、その伏線の回収率もこの事件がダントツ丁寧。後半に行くにしたがって、ええ?スルー?ってのが増えていったので、もやもやが残ってます。
2)前編後編通して光っていた、大島優子。
今回のドラマの女優陣ではナンバーワンだと思います。
自然で普通なのに、なんだか力があるというか。やりすぎ、出過ぎでない。抑えめなのにとても魅力的。
駐車場での風間とのやりとりは若干オーバー感がありましたが、他は本当に自然な演技で、微妙な心理の変化をとても上手に表現していて、アイドルから女優さんに見事に成長されたんだなぁと思いました。特に、岸川との尋問の訓練中に、車体の色を反論され、顔つきが豹変するシーンは圧巻の演技!ゾクゾクしました。
3)調達屋、樫村が日下部に「点数」の調達を持ちかけるシーン。
それまでは調達屋を自分で暴くと、正義感に燃えていた日下部も「点数」の誘惑に落ちてしまう。人間の弱い部分を突いてくる樫村の狡猾さと悪意すら感じていないであろう狂気が印象深かった。
人当たりのいい人間の裏の顔。警官にさせないでくれた風間に感謝!と思いたくなるシーンでした。
後編は言いたいこと沢山!
テンポよく次々に進んでいく前編に対して、少しトーンダウンの後編。
後編に期待していた
・菱沼の謎キャラ
・風間教官の過去
いずれも消化不良感だけが残りました。どちらもしっかり解明されず。
ふざけたキャラの菱沼は、母親の力で傍若無人が許されている。風間教官への恋をアピールしてる。
たったこれだけ???とかなり拍子抜けな設定。不要な物語。川口春奈のせいではなく、キャラ設定に難ありではないかと思いました。枝元とのやりとりも不要に感じましたし。
ここを削って、その時間で風間の過去を丹念に描写して欲しかったです。
肝心の風間教官の過去は、都築の見ている新聞の記事や、校長との「恨んでいるんだろう」との会話で目頭を押さえている。花にやたらと水をやって大事にしている。花を「この子」と呼んでいる。などから類推するしかなく、非常に消化不良。義眼になった経緯部分くらい回想で映像出して欲しかった。
原作ネタバレを探して読んで、やっと少しスッキリできましたが、原作と異なる設定もあるようで、理解に苦しみます。ドラマの核となる大事な要素を、雑に扱いすぎ。もっともっと面白くなっただろうに残念です。
限られた時間の中であれこれ詰め込みすぎ、という意見もありますが、俳優への忖度や、別の理由もありそうな・・。続編を待っていてください、という意味もあるのか?なんて色々勘ぐりまくりです。
後編で一番印象深かったのは、最後の卒業式に風間が一言かけるシーン。
宮坂への「死ぬなよ」の意味や、謎の残るところは多いものの、素直に感動できました。風間教官のビシッと決まった敬礼や制服姿の凛々しさも眩しかったです。最初は木村の「白髪・義眼」にばかり注目していましたが、最後は、義眼も白髪もどうでもよくなりました。
凛々しく佇む、風間教官。
ただそれだけが見えました。
これ、続編もあるかもしれませんが、個人的には編集を加えて映画化してほしいです。CMなしで、完成度の高い状態でもう一度見たい。
私は録画を2度3度とみて、伏線の回収作業を楽しみました。見返すと色々見つかります。リアタイでは見逃した新聞の記事内容なんかは、見直し&一時停止で、風間の襲撃された時の状況とか詳しくわかりましたよ♪録画してない方はフジテレビ動画配信サービスでどうぞ。
見れば見るほど、新しい発見がある作品です。
2021.01追記
最新作の感想はこちらにアップしました。
続編も見どころ沢山です。